10月のテーマ ~知っておきたい!~ 犬医療の現場から -認知機能不全症-

~知っておきたい!~ 犬医療の現場から-認知機能不全症-

シニア期になるにつれ脳が衰え、認知機能が低下する病気

犬も人と同じように加齢とともに認知機能が衰え、認知機能不全症になることがあります。8歳以上のシニア犬に発症しやすいといわれ、脳の神経細胞の減少や脳の萎縮が原因で、 認知機能に障害が出てくる病気です。よく見られる徴候としては「睡眠時間が長くなる」「飼い主さんの呼びかけに反応しない」などが挙げられます。睡眼時間が長くなるだけなら日常生活にとくに支障は出ませんが、悪化すると生活のリズムが昼夜逆転して夜鳴きをしたり、怒りやすくなるといった症状があらわれ、犬もストレスを感じ、銅い主さんの負担も大きくなります。

円を描くようにうろうろする犬のイラスト

認知機能不全症といわれる症状はおもに次の3つがあります。

  • ①記憶障害

    記憶力に障害が出ます。新しく経験したことを記憶したり、それまで覚えていたことを思い出すことが難しくなります。

    • 飼い主さんの呼びかけに応じない
    • トイレの場所を忘れて、そそうを繰り返す・・・など
  • ②見当識障害

    場所や時間を認知する力が低下し、「ここがどこか」「今が昼か夜か」など、自分のいる場所や時間の見当がつけにくくなります。

    • 昼夜逆転して夜中に起きる
    • 部屋の中を徘徊する・・・など
  • ③判断力の低下

    まわりの状況を把握したり、自分がとるべき行動を判断する力が低下します。それまでできていた行動ができなくなります。

    • 後ろに下がれずに、部屋の隅から出られない
    • ひとつのところを円を描くようにうろうろする・・・など

食事療法や適度な運動で認知機能の維持や改善を目指す

認知機能不全症の治療は、まず食事療法で、脳の神経細胞の保護や修復に役立つ栄養素を取り入れたドッグフードを食べさせます。並行して、適度な運動をさせます。シニアになると散歩をしたがらない犬もいるかもしれませんが、短い時間でいいので無理のない程度に散歩をさせ、剌激を与えます。餌い主さんとおもちゃやゲームで遊ぶのも効果的です。認知機能の維持や改善には、脳を使うことが大切だからです。徘徊や夜鳴きを何回も繰り返すなど症状が進行した場合は、症状の程度に合わせて治療薬のほか、安定剤や睡眠剤を使うこともあります。

認知機能不全症のおもな治療法

食事療法
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、中鎖脂肪酸、ビタミンBなど脳細胞の保護と修復に役立つ栄養素を含んだドッグフードを与えて治療していきます。サプリメントを与えることもあります。

薬物療法
認知機能不全症の治療薬のほか、不安症が強い場合は安定剤や睡眠剤を用いることが。また、漠方薬も、病気に伴う不安や怒り、徘徊などを抑える効果があるケースも。

適度な運動
散歩は脳によい刺激となり、症状の改善に役立ちます。長い散歩よりも短い散歩を1日3~4回に分けてするほうが刺激の回数が多くなり、効果的です。

食事療法をする犬のイラスト
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